不動産取引での透明化、コンプライアンスの徹底。
平成28年度 土地白書
不動産市場を取り巻く我が国経済の動向
(GDPの推移) 平成 27 年における我が国の実質GDPは、中国を始めとする新興国経済の景気減 速の影響等もあり、平成 27 年 4-6 月期に前期比でマイナスとなった。その後、7-9 月 期にプラスに転じたものの、10-12 月期はマイナスとなっている。
地価の動向
平成 28 年地価公示の結果は、全国の平均変動率では、住宅地は下落したものの下 落率は縮小し、商業地は横ばい(0.0%)から上昇(0.9%)に転じ、全用途では平成 20 年以来、8年ぶりに上昇に転じた。
(既存住宅の質に対する不安の解消)
既存住宅の売買においては、通常、物件の質に対する買主の不安がある。このため 取引対象となる既存住宅について、安全性や劣化の状態等を買主が適切に把握するこ とができる環境の整備や、万が一、売買の後に隠れた瑕疵が発見された場合等に備え たセーフティネットの整備が必要である。
こうした問題に対応するため、国では、既存 住宅売買瑕疵保険に関する仕組みの整備と「既 存住宅インスペクション・ガイドライン」等を 通じたインスペクションの普及促進を行ってい る。インスペクションとは、専門的な知見を有 する者が、建物の基礎、外壁等の部位ごとに生 じているひび割れ、雨漏り等の劣化事象及び不 具合事象の状況を目視、計測等により調査する ものであり、基礎・壁・柱等における構造耐力上の安全性や、屋根・外壁・開口部等 における雨漏り等の劣化事象等を調査するものである。
しかしながら、一般社団法人住宅瑕疵担保責任保険協会のアンケート調査によると、 実際にインスペクションを利用した者は、既存住宅の売却経験者で 15.3%、購入経験 者で 7.2%にとどまり、インスペクションの実施率は低いものとなっている。
市場環境を整備すること等を目的に、所要の措置を講ずるとされた。具体的には、① 宅地建物取引業者が媒介契約を締結する際、あっせんの可否を示した上で、既存住宅 の購入予定者の意向に応じてインスペ クション業者をあっせんし、②重要事 項説明時に宅地建物取引業者がインス ペクションの結果を買主に対して説明 するとともに、③売買契約締結時には 基礎、外壁等の現況を売主・買主が相互 に確認し、その内容を宅地建物取引業 者から売主・買主に書面交付すること 等の措置を講ずるとされた。 今後はインベクションができる増改築相談員、建築施工管理技士の需要が高まると言えるであろう。
多様な不動産情報が流通する社会への対応
本節では、消費者や投資家の不動産市場に対する評価や住まい選択の意識の変化等 を整理しつつ、不動産情報の多様化に向けた国や地方公共団体等による取組の動向に ついて紹介する。
1. 我が国の不動産市場の透明性に対する評価

土地問題に関する国民の意識調査の 結果をみると、消費者の不動産取引に対 する印象は、平成 15 年から比較してや や減少傾向にあるものの、依然として 「難しくてわかりにくい」、 「なんとなく 不安」という回答が全体の 60%を占め ている。その理由は、「 不動産の価格の 妥当性を判断しづらいから」が最も多 く、次いで「不動産取引の流れがわかり づらいから」 、 「不動産の品質の良否を見 極めづらいから」が多くなっている。
国内投資家の評価については、不動産以外の国内金融商品や国外不動産市場と比較 した投資判断時における諸要素の重視度及び現状の認識・評価を聞いた、国内投資家 アンケート調査によると、「不動産投資関連情報の充実度」、「不動産投資関連情報の 入手容易性」はいずれも約 70%の回答者が重要であると答えているものの、実際の充 実度・入手容易性について約 35~40%の回答者が不十分であるとしている。
不動産市場を取り巻く我が国経済の動向
(GDPの推移) 平成 27 年における我が国の実質GDPは、中国を始めとする新興国経済の景気減 速の影響等もあり、平成 27 年 4-6 月期に前期比でマイナスとなった。その後、7-9 月 期にプラスに転じたものの、10-12 月期はマイナスとなっている。
地価の動向
平成 28 年地価公示の結果は、全国の平均変動率では、住宅地は下落したものの下 落率は縮小し、商業地は横ばい(0.0%)から上昇(0.9%)に転じ、全用途では平成 20 年以来、8年ぶりに上昇に転じた。
(既存住宅の質に対する不安の解消)
既存住宅の売買においては、通常、物件の質に対する買主の不安がある。このため 取引対象となる既存住宅について、安全性や劣化の状態等を買主が適切に把握するこ とができる環境の整備や、万が一、売買の後に隠れた瑕疵が発見された場合等に備え たセーフティネットの整備が必要である。
こうした問題に対応するため、国では、既存 住宅売買瑕疵保険に関する仕組みの整備と「既 存住宅インスペクション・ガイドライン」等を 通じたインスペクションの普及促進を行ってい る。インスペクションとは、専門的な知見を有 する者が、建物の基礎、外壁等の部位ごとに生 じているひび割れ、雨漏り等の劣化事象及び不 具合事象の状況を目視、計測等により調査する ものであり、基礎・壁・柱等における構造耐力上の安全性や、屋根・外壁・開口部等 における雨漏り等の劣化事象等を調査するものである。
しかしながら、一般社団法人住宅瑕疵担保責任保険協会のアンケート調査によると、 実際にインスペクションを利用した者は、既存住宅の売却経験者で 15.3%、購入経験 者で 7.2%にとどまり、インスペクションの実施率は低いものとなっている。
市場環境を整備すること等を目的に、所要の措置を講ずるとされた。具体的には、① 宅地建物取引業者が媒介契約を締結する際、あっせんの可否を示した上で、既存住宅 の購入予定者の意向に応じてインスペ クション業者をあっせんし、②重要事 項説明時に宅地建物取引業者がインス ペクションの結果を買主に対して説明 するとともに、③売買契約締結時には 基礎、外壁等の現況を売主・買主が相互 に確認し、その内容を宅地建物取引業 者から売主・買主に書面交付すること 等の措置を講ずるとされた。 今後はインベクションができる増改築相談員、建築施工管理技士の需要が高まると言えるであろう。
多様な不動産情報が流通する社会への対応
本節では、消費者や投資家の不動産市場に対する評価や住まい選択の意識の変化等 を整理しつつ、不動産情報の多様化に向けた国や地方公共団体等による取組の動向に ついて紹介する。
1. 我が国の不動産市場の透明性に対する評価

土地問題に関する国民の意識調査の 結果をみると、消費者の不動産取引に対 する印象は、平成 15 年から比較してや や減少傾向にあるものの、依然として 「難しくてわかりにくい」、 「なんとなく 不安」という回答が全体の 60%を占め ている。その理由は、「 不動産の価格の 妥当性を判断しづらいから」が最も多 く、次いで「不動産取引の流れがわかり づらいから」 、 「不動産の品質の良否を見 極めづらいから」が多くなっている。
国内投資家の評価については、不動産以外の国内金融商品や国外不動産市場と比較 した投資判断時における諸要素の重視度及び現状の認識・評価を聞いた、国内投資家 アンケート調査によると、「不動産投資関連情報の充実度」、「不動産投資関連情報の 入手容易性」はいずれも約 70%の回答者が重要であると答えているものの、実際の充 実度・入手容易性について約 35~40%の回答者が不十分であるとしている。