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中古物件の住宅ローン減税

不動産コンサルティングマスター 金澤修一

不動産コンサルティングマスター 金澤修一

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【相談1】 リフォーム費用は住宅ローン減税の対象になる?


「中古住宅を購入しました。その直後、リフォームを行うための資金を住宅ローンで借りて、リフォームを行いました。この住宅ローンは住宅ローン減税の対象となるのでしょうか?」

 ある条件付きになりますが、対象となります。
 平成20年以前は、所有者が自分であり、かつそれまで住み続けている建物をリフォームするための借入金のみが住宅ローン減税の対象でした。
 しかし、平成21年度税制改正により、これが変わりました。ご相談にあるよう中古住宅をリフォームしてから住んだとしても、平成21年1月1日以後に入居した場合であれば、『そのリフォーム工事の日から6か月以内に入居する』という条件付きで、住宅ローン減税の対象となります。
 ちなみに銀行事務手数料、保証料、登記費用や仲介手数料などは住宅ローン控除の対象外ですので、注意しましょう。




【相談2】住宅ローン減税を夫婦で受けるには?


「夫婦は共働きのため、それぞれに収入があります。そこで夫婦二人の名義(連帯債務)で住宅ローンを借りました。この場合、夫婦での住宅ローン減税を受けることはできますか?」

 連帯債務の場合ですと、土地・建物に関する所有権の持分割合によって借入金額を按分した金額が、夫婦それぞれの借入金額となるので、その金額をもとにそれぞれ住宅ローン減税を受けることができます。
 例えば、借入金が3000万円だったとします。そこから夫の持分を2/3、妻の持分を1/3とした場合、夫の借入金が(3000万円×2/3=)2000万円となり、妻の借入金は(3000万円×1/3=)1000万円となるわけです。
 ただ、ご相談にある場合、注意しなければならないのが。住宅ローン減税を受けるための確定申告をする際に、「連帯債務がある場合の住宅借入金等の年末残高の計算明細書」に必要事項を忘れず記入してから、申告書と一緒に提出することです。




【相談3】収入がない期間の住宅ローン減税はどうなる?


「マイホーム購入時に妻名義でも住宅ローンを借り、妻も住宅ローン減税を受けています。妻は働いているのですが、昨年より出産休暇中で給与収入がありません。この場合、妻の住宅ローン減税はどうなりますか?」

 その場合ですと、一時的に住宅ローンが減税されなくなります。
 住宅ローン減税とは、年末の住宅ローンの残高に控除率をかけた金額(100円未満の端数切捨て)がその年の所得税から減税される仕組みとなっています。そのため、給与収入やその他の収入がなく所得税の発生しない場合には、減税枠があっても所得税がないため減税されません。
 なお、仕事に復帰して収入(つまり所得税)が発生すれば、その時から住宅ローン減税を受けることはできます。しかし、収入のない産休などの理由で住宅ローン減税を受けられなかった期間があっても、当初に設定された適用期間が変わる事はありません。




【相談4】買い換えをした場合、住宅ローン減税はどうなる?


「昨年、住宅ローン減税を受けていた物件を売却して、新しくマイホームを購入しました。この場合、その時まで受けていた住宅ローン減税を引き続き受けることができますか?」

 住宅ローン減税を受けることは可能ですが、昨年の住宅ローン減税を引き継ぐことはできません。つまり、昨年まで受けていた住宅ローン減税ではなく、その新しくマイホームへ入居した年に適用される住宅ローン減税の内容を受けることになります。
 ちなみに入居した時期によって、控除期間や控除額に違いがあります。また、新たに確定申告する必要があるため、忘れずに手続きを行いましょう。




【相談5】会社員です。住宅ローン減税の確定申告の方法がわかりません。



「住宅ローン減税を受けるためには確定申告が必要と聞きました。会社員なので、一度も自分で確定申告をしたことがありません。確定申告にはどのような方法がありますか?」

 まず、税務署で貰える確定申告書の用紙を用意してください。次にその確定申告書に必要事項を直接記入し、それを郵便または信書便により住所地等の所轄の税務署に送付する(通信日付印により表示された日が提出日になります)か、所轄の税務署の受付に直接持参する方法があります(税務署に設置された、時間外収受箱への投函により提出することも可)。
 税務署へ足を運ぶ時間がなければ、インターネットから国税庁のホームページへアクセスし、ページ内にある「確定申告書等作成コーナー」で用紙を作成することも可能です。その作成した確定申告書をプリントアウトして、郵便または信書便により住所地等の所轄の税務署に送付するか、所轄の税務署の受付に直接持参してください。
 利用するために事前の手続等が必要になりますが、e-Tax(電子申告)で申告することも可能です。
 確定申告書への記入方法などは国税庁のホームページに載っていますので、そちらを参照してください。何か不明な点がある場合は、必ず税務署へ直接確認することをお勧めします。
 なお、確定申告の時期は、還付と納付によってやや異なっています。還付の場合は1月~3月中旬、納付の場合は2月中旬~3月中旬です。これはあくまで大まかな日程であり、具体的な日程は毎年違うため、必ず国税庁のホームページや所轄の税務署に確認するようにしましょう。



【相談6】中古住宅でも住宅ローン減税を受けられる?


「中古住宅を購入しました。中古住宅も住宅ローン減税を受けることができますか?」

 中古住宅であっても、条件を満たしていれば住宅ローン減税の対象となります。
 基本的には新築住宅と同様の条件(年収、床面積、住宅ローンの内容など)なのですが、建物については次の条件があります。

1.建築後使用されたものであること。
2.次のいずれかに該当する住宅であること。
①マンションなどの耐火建築物の建物の場合には、その取得の日以前25年以内に建築されたものであること。
②耐火建築物以外の建物の場合には、その取得の日以前20年以内に建築されたものであること。
③ ①または②に該当しない建物の場合には、一定の耐震基準に適合するものであること
(平成17年4月1日以後に取得をした場合に限る)。一定の耐震基準を満たすためには、建物の取得の日から2年以内に耐震基準適合証明書による証明のための家屋の調査が終了しているか、その建物の取得の日から2年以内に住宅性能評価書により耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)の評価が等級1、等級2又は等級3であると評価されたものをいいます。
3.取得の時に生計を同じにして、その取得後も引き続き生計を同じにする親族などからの取得でない。
4.贈与による取得でない。





【相談7】親からの借入金は住宅ローン減税の対象になる?


「自分の両親から借りたお金で、マイホームを購入しました。その時、両親との間で正式な借入書も作成しており、借りたお金を毎月返済しています。この両親からの借入金は住宅ローン減税の対象になるのでしょうか?」

 両親を含めた親族や知人などからの借入金は、住宅ローン減税の対象となる借入金とはみなされません。そのため、その他の借入金の条件(返済期間10年以上、割賦償還の方法による返済など)を満たしたとしても、住宅ローン減税を受けることはできないのです。

 ちなみに親族以外でも次の借入金も対象となりません。

1.勤務先(役員を除く)や事業主団体からの無利子または1%未満の利率による借入金
2.勤務先(役員を除く)や事業主団体から利子の援助を受けることにより給与所得者が実際に負担する金利が1%未満の利率となる借入金
3.勤務先(役員を除く)や事業主団体から時価の1/2未満の価額で取得したマイホームの借入金





【相談8】転勤で住んでいない物件の住宅ローン減税はどうなる?


「昨年から転勤により、住宅ローン減税を受けていた物件に住んでいません。引き続き住宅ローン減税を受けることはできますか?」

 その具体的な状況によって変わります。次に「単身赴任の場合」と「家族全員で引越しをした場合」を挙げますので、ご自身がどの状況に当てはまるかを考えてみましょう。

1.単身赴任の場合
 建物の所有者が、転勤、転地療養やその他のやむを得ない事情により、配偶者や扶養親族などの親族と一緒に住むことができない場合。その住宅の取得日から6ヶ月以内に、同建物へ家族が入居し、その後も引き続き住み続けていれば、住宅ローン減税を受けることができます。
 ただし、住宅ローン減税を受ける者の単身赴任先が海外であった場合。赴任したその年の12月31日においても住宅に住んでいなかった時は、非居住者とみなされるため、非居住者となっている間の年分についての住宅ローン減税を受けることはできません。

2.家族全員で引越しをした場合
 次の要件すべてを満たす場合は、その建物に再び入居した年(入居した年の間で、該当する建物を賃貸にしていた場合はその翌年)から、残存している控除期間だけに限り住宅ローン減税を再び受けることができます。
①勤務先からの転任の命令その他これに準ずるやむを得ない事由がある。
②平成15年4月1日以降に、対象となる建物に住まなくなった。
③対象となる建物に住まなくなる前に、税務署で一定の手続を行った。




【相談9】住宅ローン減税の確定申告を忘れた!今からでも間に合う?


「一昨年に購入したマイホームに住んでいますが、昨年に住宅ローン減税を受けるための確定申告を忘れてしまいました。手続きが遅れてしまっても、住宅ローン減税を受けることは可能でしょうか?」

 ご自身が勤務先での源泉徴収(年末調整)によって所得税を納付するサラリーマンの場合、申告期限からの5年間は住宅ローン減税の請求権が有効であるため、可能です。必要書類を集めてから所轄の税務署へ行き、還付申告をしてください。
 もし、毎年ご自身で確定申告をする自営業者などが、申告期限を過ぎた後に住宅ローン減税の還付申告をする場合。まず、所得税更生の請求書に必要事項を記入しましょう。後はその請求書と一緒に住宅ローン減税を受けるための必要書類をそろえてから、所轄の税務署へ行き手続きをします。ただし、この場合はサラリーマンと違って、申告期限から1年以内が期限となりますので注意しましょう。




【相談10】ローンの借り換え後、住宅ローン減税はどうなる?


「住宅ローンを借り換えした場合、住宅ローン減税を引き続き受けることができますか?」

 残念ながら、住宅ローン借換えによる新しい住宅ローンでは、それまで受けていた住宅ローン減税を引き続き受けることはできません。何故なら、住宅ローン減税の対象となる借入金の条件は原則として、「それが住宅の新築や取得、または増改築などリフォームのために直接必要な借入金であること」だからです。ご相談にあるような場合では、既存の借入金を新しい借入金い換えることになるため、住宅借入金等特別控除の対象とはなりません。
 しかし、次の要件すべてを満たす場合には、住宅ローン減税の対象となる借入金とみなされるので、それまで受けていた住宅ローン減税を引き続き受けることが可能となります。

1.新しい住宅ローンが当初の住宅ローン等の返済のためのものである。
2.新しい住宅ローンの返済期間が10年以上など、住宅ローン減税の対象となる要件を満たしている。

 なお、住宅ローン減税の適用期間は、その住宅に入居を開始した時に決められた期間が引き続き適用されます。そのため、住宅ローン借換えによって、その年の住宅ローン減税の適用期間を新たに選択し、元々の適用期間を延長することはできません。


2011年4月金澤作成
現行内容はぜひ私どもまでお聞き下さい。