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賃貸借契約から9ヶ月後に解約して、違約金を請求された..。判例では違約金条項は無効!

不動産コンサルティングマスター 金澤修一

不動産コンサルティングマスター 金澤修一

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原告は被告から、平成20年2月22日、本件建物を、次の約定で賃借し、敷金として70万5000円を被告に差し入れた。

①家賃 月額23万5000円
②管理費・共益費 月額1万7000円
 原告は被告に対し、平成20年9月22日に本件賃貸借の解約を申し入れ、本件賃貸借は、同年11月22日をもって終了した。
 原告は、平成20年9月26日、被告に対し、本件賃貸借の違約金条項(賃借人より契約締結後2年未満に解約・解除等がされたときは、賃借人は賃料・共益費の1か月分を支払う旨の条項)に基づく違約金として、駐車場料金を含め30万4500円を支払った。


2 判決の要旨

 違約金条項が消費者契約法10条により無効であるか否かについて本件においては、賃借人からの解約申し出後2か月で賃貸借契約が終了する旨の特約が別途存在するのであり、賃貸借契約が2年以内に解約されることにより、賃貸人に特段の不利益があるとは考えられない。

 本件賃貸借は居住用マンションの賃貸借であるが、その契約時期は、平成20年2月であるところ、一般的には、4月に居住用マンションの新規需要が生じるのであるから、契約後2年間の契約期間に特段の意味はないといわなければならない。そうすると、上記特約は、消費者である原告の利益を一方的に害するというべきであり、消費者契約法10条に違反すると解するのが相当である。

3 まとめ

 契約締結後2年未満に解約・解除等がされたときは賃借人は賃料・共益費の1か月分を支払う旨の違約金条項が、中途解約条項が別途あることに鑑み、消費者契約法10条により無効であるとされた点でも参考となるものである。

 なお、賃貸借契約における違約金条項についての消費者契約法9条1号に関する最近の裁判例として下記も参考とされたい。

・東京簡判平21.2.20裁判所ウエブサイト(賃料・共益費の6ヶ月分の即時解約金の約定は、1ヶ月分を超える分は無効)
・東京簡判平21.8.7ウエストロー・ジャパン(賃貸借開始より1年未満の解約の場合は賃料の2ヶ月分の違約損害金を支払う旨の約定は、1ヶ月分を超える分は無効)
・大阪地判21.3.31消費者ニュース85号173頁(契約解除の翌日から明渡しの日まで家賃等相当額の1.5倍の損害賠償金を支払う旨の規定は、1ヶ月分の家賃等損害金相当額を超える分は無効)

ピタットハウス 顔イラスト (1)